【相棒season15】最終回2時間スペシャル第18話「悪魔の証明」のあらすじと感想(ネタバレあり)

2017年3月31日

ドラマ

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昨年10月から放送されていた相棒season15が最終回でした。
第18話「悪魔の証明」は夜20時から2時間スペシャル。


相棒season15最終回2時間スペシャル第18話「悪魔の証明」のあらすじ

サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官の青木年男(浅利陽介)が、総務部広報課課長の社美彌子(仲間由紀恵)のパソコンに侵入し、なにやら物色。主に仕事関係のファイルばかりだったが、プライベートなフォルダーを見つけると、中身を確認する。中には社美彌子娘の画像や動画が入っていた。

翌朝、社美彌子は自身のパソコンのアイコンの位置が、いつもと違うことに気づく。気のせいかもしれないと思いつつ、社美彌子は青木年男に相談する。


特命係の一室に青木がきていた。青木は杉下右京(水谷豊)とチェスをしながら、社美彌子に相談されたことを話す。冠城亘(反町隆史)から「パソコンを見てあげれば良かったんじゃないのか?」と聞かれると、私物のパソコンらしいから、断られたと青木。

そろそろ日が落ちようかという夕方5時前、特命係の部屋に、今度は首席監察官・大河内春樹と部下が一人やってくる。冠城亘のパソコンを調べさせてほしいと監察官。社美彌子のパソコンにバックドアが仕掛けられていたことがわかり、それに冠城が関わっているのではないかと疑われているようだ。心外ながらも、自分にはそんなスキルはないと要求に応じる冠城。

「しかし、あるということは簡単に証明できますが、ないことを証明するのは実質上、不可能です。いわゆる悪魔の証明です。」と右京。

「そのとおり。間違っても俺にスキルがないことを証明しろなんて言わないでください。ないことを証明できないから、お前にはあるんだなんて詭弁も悪魔の証明ですからね。」と冠城。

大河内監察官は「そんなこと言われなくてもわかっている。」と部下とともに、部屋を後にした。


それから約2時間後、特命係の部屋に青木が再びやってくる。

「ログ解析によって、社課長のパソコンに侵入していたことが判明しました。すでに消去されていますが、メールした痕跡も。」と、これまでにわかったことを伝える青木。

右京が冠城のパソコンをのっとっていた可能性も指摘するが、そういった跡は残っていなかったと青木。
帰りの車中、冠城は社美彌子に自分ではないとメッセージを残す。


社美彌子の娘の存在が公にされる

翌朝、出勤しデスクに座る社美彌子に1件の電話がかかってくる。

週刊誌フォトスの記者・風間楓子(芦名星)からで、速達を送ったことを告げる。社美彌子が確認すると、封書のなかに社美彌子の娘の写真が一枚入っていた。用件を問うと、社美彌子の記事を今週掲載するので、記者が取材がしたいとアポイントを求めるが、時間がないと断った。

社美彌子は記事が掲載されることをすぐに上司に相談する。


日にちが変わり、犯罪対策五課の角田六郎課長が週刊誌を手に特命係の部屋にやってきて、特命係の2人に記事を見せる。直後に冠城の携帯に電話。大河内監察官からの呼び出しで、部屋に向かうとすでに社美彌子も来ていた。記事に使われた写真は社美彌子のパソコンにあったものであると大河内から説明されると、冠城はすぐに否定する。


記事の写真を見ていた杉下右京は気になることがあったようで、パソコンでなにやら調べる。
冠城が特命係の部屋に戻ってくると、杉下右京は写真の気になる点について話し出す。

写真に映ったクリスマスツリーやカレンダーの日付から、写真が撮影されたのは2010年と考えられる。ただ、カレンダーに張られたプリキュアのシールが、ネットで調べた結果、2010年にはまだ商品化されていないものだと説明。商品が登場したのは2013年以降。25日が土曜日という日付から、2014年の1月に撮影されたものではないかと、推測する。

1月にクリスマスツリーがあるのはおかしいと角田課長が指摘すると、クリスマスツリーを含めた正月飾りではないか、ユリウス暦を採用しているロシア正教では年末年始にかけ1ヶ月間、ツリーを飾るのは珍しいことではないそうですよ~と、説明する杉下右京。

写真はロシア式の正月のひとコマと結論付けられたところで、冠城にまたも電話。今度はかつての上司、法務事務次官・日下部彌彦(榎木孝明)からだった。


シーンが変わり、日下部の部屋。日下部の部下と冠城がいる。日下部は記事のネタ元が冠城と思っているようで、やり方が荒っぽすぎると注意する。
今回の件は自分ではないと否定しつつ、社美彌子のなにを探っているのかと日下部に尋ねる冠城。


冠城が日下部に会っているころ、杉下右京は東京拘置所に来ていた。そこで内閣情報調査室の室長だった天野(羽場裕一)という男に会いに来ていた。

以前、社美彌子が内閣情報調査室で仕事をしていたことがあり、天野はそのときの上司にあたる。杉下右京は週刊誌の記事の件と、社美彌子がシングルマザーでハーフの娘がいることを天野に教える。杉下右京は娘の父親が誰かということも気になっていて、ロシアの元スパイでアメリカに亡命したヤロポロクの名前を出し、天野の反応を観察する。


シーンが変わって週刊誌フォトスのオフィス。
捜査一課の伊丹憲一(川原和久)と伊丹憲一(川原和久)は大河内監察官の命令で、記者の風間楓子に事情を聞きに来ていた。

伊丹がどうやって情報を得たのかダメ元で聞くも、風間は答えない。芹沢が情報提供者の特徴として、冠城の容姿を説明して尋ねると、この刑事はなにを言ってるのだろう?と風間は理解できないといった表情を見せた。


特命係の一室。冠城が戻ってきていた。冠城も携帯でヤロポロクについて調べていると、そこに右京も戻ってくる。ヤロポロクがアメリカ大使館に逃げ込んでから起こった事件について、間単に説明する杉下右京。
誰が父親なのかも含め、社美彌子と娘について知りたがる杉下右京。

冠城が日下部と会っていたときの回想シーンが流れ、どうして日下部が社美彌子をマークしているのか、明かされる。

日下部は娘の父親がヤロボロクではないかと疑っていて、もし社美彌子が国を裏切っていたのなら罰を与えねばならないと、考えていた。

「オレ、こうみえてロマンチストなんですよね。」とつぶやく冠城。


記事が報じられたことで上層部も動き出す

場面が変わり、とある一室に社美彌子が入室する。

部屋の中の上座に警視庁副総監の衣笠藤治(大杉漣)を始め、上層部の人間十数名が待ち構えていた。末席にいた大河内監察官が週刊誌の記事のコピーを手に、記事についての説明を求める。社美彌子は記事については概ね正しいと認めるが、副総監や内村完爾刑事部長(片桐竜次)の質問にはプライベートを理由に、まともに答えない。


上層部の聞き取りから開放され帰宅する社美彌子を冠城が待っていた。車で家まで送る車中で、記事の件で杉下右京が動き出したことを社美彌子に伝える冠城。一緒に捜査しないのかと社美彌子に聞かれると、

「課長の詮索はしないって約束しましたよね。
約束は守ります。それに課長が愛におぼれて、国を裏切るような女に思えませんから。」と回答。


花の里で食事をしている杉下のところへ、伊丹と芹沢がやってくる。

週刊フォトスの記者に情報を流したのは誰か、つまり冠城亘の仕業だと裏づけを取れという命令に対し、それは警部殿の仕事なんじゃないかとクレームをつけ、記者の名刺を渡し、2人は帰っていった。


翌日、一足早く出勤していた冠城は、杉下が出勤するや否や、

「右京さんの目的、なんですか?社美彌子の娘の父親を特定する目的です。」と、いつになく真剣な表情で質問をする冠城。
杉下は「必要だから、でしょうかねぇ」と曖昧な返し。

冠城は、杉下右京も日下部と同じく、社美彌子を糾弾するのが目的なのではと考えているようだ。


杉下からも、記事の写真を提供したのではないかと問われる冠城。

「改めて言いますが、僕じゃありません。どうしても僕の仕業にしたいなら証拠をあげろっていったでしょ。その点では社美彌子も同じじゃないですか。
どうしても国を裏切ってたことにしたいなら証拠をあげろ。恋愛と国家の裏切りをダイレクトに結びつけるなってね。」

イラつき気味に答える冠城に、「確かに君はロマンチストかもしれませんねぇ。」と右京。


その後、冠城は青木に電話。社美彌子のパソコンに侵入したのは自分じゃないことをはやく証明してほしくて、青木に催促する。そんな簡単には見つからない、とにかく任せろと、半ばキレ気味に返事をし、電話を切った後、

「うるせぇな。もっと罪着せちゃうぞ」とつぶやく青木。



杉下右京が動き出す

場面が変わり、杉下右京は週刊フォトスのオフィスへ、記者の風間に会いに来ていた。
杉下から内密に話したいことがあるという。情報源を絶対に明かさないという条件で、「社美彌子の娘の父親を教えましょうか?」と右京。


冠城は伊丹と芹沢に、ヤロボロクに情報を流していた人物が次々に殺害される過去の事件について、協力を求めていた。冠城から杉下右京が蒸し返そうとしていると聞くと、2人も態度を変える。事件のことについて調べていると、杉下が気にかけていたのは元内閣情報調査室の室長・天野ではないかと。

特命係の部屋にいた杉下に直接問うと、さすが勘が鋭いと認める。

「娘の父親の特定が右京さんの積年の疑問を解決するのに、どう必要なんです?」と冠城が尋ねると、その場にいた伊丹たちも知りたがる。

あの日、どうして天野は自ら定めたルールを破ってまで殺人という犯行に及んだのか、具体的な動機がまだ不明。その天野も知りたがっていた娘の父親が明らかになることで、真相がハッキリするかもしれない。今回の一軒が突破口であり、娘の父親を特定する必要があると説明する右京に対し、納得のいかない表情を浮かべる冠城。


伊丹と芹沢は刑事部参事官・中園照生(小野了)に社美彌子に関することを報告。参事官直々に特命係の部屋へ訪れ、伊丹と芹沢を貸し出すから、社美彌子の娘の父親がヤロポロクかどうか結論を出せと杉下に命じる。杉下は早速、2人に週刊フォトスの記者・風間について調べてほしいと頼む。


その様子を伺っていた冠城は、フォトスのオフィスに来て風間と面会する。杉下右京がなにをしにきたのかと尋ねる。何も答えられないと帰る素振りをみせる風間を、冠城は自宅まで送ると申し出る。車中で少し会話し、風間を自宅まで送ったあと、冠城の電話が鳴る。杉下右京がなにをしに来たのか話すという風間。



そのころ社美彌子はオシャレなレストランで甲斐峯秋(石坂浩二)を食事をしていた。

甲斐は例の社美彌子の記事を見て、彼女がシングルマザーだという事実にまだ半信半疑、と同時になにか大きな秘密があるんじゃないかと、率直な感想をいう。

社美彌子は「ただ単に未婚の母ということを隠していただけです。皆さん、父親が誰なのか興味津々のようで。」と言葉を返すと、甲斐はそそられる謎だから、僕も知りたい・・・と興味を示す。

すると「杉下さんも興味津々。杉下さんが調べ始めたんじゃ、近いうちに暴かれますね、きっと。」と、社美彌子は半ばあきれるような表情でつぶやく。

「彼が興味を持つようなことなのかね。」と、杉下右京がこの件について調べようとしていることが少し意外に感じる甲斐。
社美彌子はそれ以上なにも言わず、料理を口に運んでいた。



杉下右京と冠城亘が衝突!

花の里。

杉下右京がいつものように晩酌している。そこへ冠城もやってきた。
「いつもの」と注文し席に座り、お酒が届くと「お疲れさまでした」とワインに口をつける冠城。

そして冠城が話し出す。

「右京さんのことだから計算づくでしょう。オレなんかの想像の及ばない狙いがあってのことだと思いますけど、けっこうな乱暴狼藉を働きますね。リークなんて真似、するとは思いませんでした。」と、落ち着いた、しかし静かな怒りも感じさせるトーンで杉下右京に問う、冠城。


オフィスで杉下右京と記者の会話が再現され、右京は娘の父親がヤロボロクだと話していた。

僕一人では限界がある。利用できるものは利用しようと。でも、記者の反応は薄かったし、情報源をこうもやすやすと話すとは、相手にされていない証拠・・・と答える杉下。

リークは方便で、なにを確かめにリークを装って記者に近づいたのか。それに記者がろくに取材もせず、安易に記事にしてしまう恐れもあった。もしヤロボロクが父親だと記事になっていたら、社美彌子だけでなく、娘も被害を被る・・・と、自分の考えを述べる冠城。

そして「それくらいの爆弾なんです。右京さんが今もて遊んでる情報は」と記者に父親のことをリークした杉下を責める。


カチンときたのか杉下右京も黙っていない。


杉下「持て遊んでる?」

冠城「えぇ。根本にあるのは、所詮自己満足でしょうが。」

杉下「先ほど、オレの想像の及ばない狙いがあってのことだと思うとおっしゃいましたね。」

冠城「言いました」

杉下「想像が及ばないのならば・・・、黙っていろ!」

冠城「右京さん、あなた・・・何様だ」


相棒season15最終回2時間スペシャル第18話「悪魔の証明」の感想

右京さんも社美彌子の娘の父親に興味を持ち始めて独自に調べだしてから、冠城との関係がギクシャクし、とうとう険悪になってしまった。右京さんが「黙っていろ!」なんて言うほど、怒るなんて・・・。

翌日にはいつもの右京さんに戻っていたけど、冠城のほうはまだ釈然としないようで機嫌が悪そうでしたが、特命係の部屋に社美彌子がくると、そこから徐々に謎が解明されていきます。


記事に掲載された写真は、この謎を解いてみろという自分への挑戦と受け取った右京さん。その見解を社美彌子に話すと、自意識過剰と言われてしまう。

社美彌子が部屋を出て行った後、誰が仕掛けたのか教えてくださいと、素直になる冠城。
右京さんの導き出した答えは、「社美彌子」でした。

私用のパソコンに何者かが侵入し、知られたくないことまで知られてしまった。それで自分にとって何か不利になるようなことに利用されるくらいなら、これを機に秘密をばらしてしまおうと。伊丹さんたちが記者について調べた結果、一人の人物が浮上。同じサークルで社美彌子の先輩にあたる雑誌の編集者でした。彼を通して記者の風間に情報が渡ったのではと、冠城が直接、社美彌子に問うと、自分で情報を提供したことを認めた。


その後、上層部による社美彌子への尋問が再び行われます。

今回はプライベートを理由に言い逃れはさせないと強く迫るお偉方。
社美彌子は娘の父親は「ヤロボロク・アレンスキーです。ただし皆さんの考えているようなことではありません。」と答えた。

すぐに場面が変わり、内村刑事部長曰く、「これで終わりだ。大事にしても誰の得にもならない。」と、苦々しい表情。特命係の2人も、これ以上触れるな、外部にももらすなというお達しが出ている・・・と角田課長を通して知らされる。


いったいなにがあったのか?


社美彌子は東京拘置所にいる天野に呼ばれ、どうやって幹部連中を黙らせたのかと尋ねられ、そのときの様子が再現されます。

社美彌子はヤロボロクに乱暴されたと告白。今となっては証明できないが、証言してくれる人ならいると、警察庁長官官房付・甲斐峯秋が登場、彼の口からその当時のことを皆に説明した。

被害届けを出すようアドバイスもされたが、社美彌子は仕事に支障をきたすと固辞。子どもには罪はないと出産を決意。


本当に事実であれば、自分の身を犠牲にしてまで職務を全うした人間に、国を裏切ったと責めるわけにもいかない。
もし作り話であっても、国を裏切ったと言えるだけの確たる証拠はない。

上層部が2人の話を信じず、後者で社美彌子を責めるにしても、ないものを証明するわけですから、まさに悪魔の証明。


社美彌子の娘の父親がヤロボロクでなければ、別に秘密にするようなことでもないので、父親は彼だと思うけど、子どもができた経緯までは、ほんとのとこどうなんだろう?


ヒントになりそうなのは社美彌子と甲斐さんの2人で食事をするシーン。

そこでは甲斐さんは社美彌子がシングルマザーという事実に半信半疑だったこと、そして誰が父親なのかも気にしていました。上層部の会議に証人として呼ばれた時に証言した内容と、矛盾を感じます。


となると社美彌子が幹部たちに説明したことはでたらめで、甲斐と口裏を合わせてのことだった・・・と、そんな風に感じました。

仕事を通して社美彌子がロシアのスパイ・ヤロポロクと知り合い、普通に恋愛し、子どもができた。後ろめたいことはなにもしていないけど、そのまま言えば国家を裏切ったと疑われる、だから娘の父親のことは隠していた・・・そういうことだったのかな、と。

冠城亘は自らロマンチストというほど社美彌子を信じてたけど、なにが真実なのか、最後の最後までわからない展開で面白かったです。


また、最終回といえば警察内部の高い地位の人や有名な政治家の汚職を暴いたり、多数の被害者が出るような大きな事件などが取り扱われたりしますが、今回に限って言えば誰かが死ぬような事件は発生していない。犯罪と呼べるものも、最初にサイバーセキュリティの特別捜査官・青木年男が、他人のパソコンを盗み見したくらい。

最初はこの青木が冠城を困らせるため、記者に情報を売ったのかと思ったんですけね、違いました。


社美彌子が相棒に登場してから娘の存在は確かに気になる部分ではありましたが、最終回で父親が誰か?ということを明らかにしていくというストーリー。
刑事モノドラマの最終回で事件がないなんて普通は考えられませんが、それでも物語を作れてしまうのが、相棒のすごいところだな・・・と改めて思った。


そしてエンディングでは、右京さんが甲斐峯秋に会いに行き、会議のあった日のことについて話を聞きにいきます。
右京さんにとっては、甲斐が社美彌子のことを評価していることが少し意外だったよう。

そのとき甲斐がこう言います、「僕はこのままで終わらないよ。」と。

かつては特命係で右京さんと仕事をしていた甲斐享、彼が起こした事件により、父親の甲斐峯秋は閑職に追いやられている。この先、地位を取り戻すために何か仕掛けるのか?

最後は右京さんの「黙っていろ!」というセリフと、冠城の「何様だ」というセリフで締められ、この2人の関係がどうなっていくのか、次のシリーズに早くも期待感が膨らみます。

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