決勝戦試合経過
レアル・マドリードが早い時間帯で先制
前半9分、レアルの右サイドからのクロスを鹿島がいったんはクリア。跳ね返ったボールがエリアの外にポジショニングしていたモドリッチの正面にいってしまい、すぐさまシュート。これもキーパーの曽ヶ端が弾き返したのですが、ゴール前に詰めていたベンゼマの足元に転がり、シュートをうたれる。防ぐ手だてがなく、レアルが早くも先制。弾き返したボールが、ことごとくレアルの選手のほうにいってしまい、鹿島にとっては不運にも思ったけれど、それだけレアルの選手の読みや経験によるものという見方もできるので、取られるべくして取られたようにも思えました。
できるだけ失点せずにゲームが進んだら・・・と思っていたので、早い時間帯での失点は、大敗も覚悟しなければならないかと思わされた。
鹿島アントラーズが前半終了直前に追いつく
レアルが優勢に試合を進めていましたが、鹿島もなんとか窮地をしのいで追加点だけは阻止。そんな鹿島にチャンスが訪れます。前半もそろそろ終わろうかという時間帯で、土居が左サイドからドリブルで仕掛け、エリア内中央の柴崎へクロス。柴崎はうまくトラップできず、ボールを前方に跳ね返してしまいましたが、レアルのディフェンスもそのボールに反応しきれず身体に当てて、再び柴崎の元に戻ってきた。
このこぼれ球を柴崎がファーサイドのほうへシュート!
キーパーはセーブすることができず、同点ゴールが生まれました。
跳ね返したボールを拾われゴールとなったレアルの得点と同じくらい、鹿島の得点も運が味方してくれたようなゴールでした。
先制されたときはどうなることかと思いましたが、前半を終え1-1の同点。
鹿島がレアルから1点を取るなんて想像すらしていなかったので点を取ったことにビックリでした。
鹿島アントラーズにクラブ世界一の可能性が・・・
後半に入ると鹿島にチャンスが訪れる。後半7分、相手のミスもあり柴崎がディフェンスラインの前でボールを持つと、3人に警戒されながらもドリブルで横に移動しつつシュート。
キーパーははじき出すことができず、ゴール左隅に決まった。
事態を理解するのに一瞬、時が止まったかのようにすら感じましたが、鹿島が勝ち越しゴール。
レアル相手にリードを奪い、クラブ世界一になる可能性をグッと引き寄せた瞬間でした。
レアル・マドリードが同点に追いつく
レアルもまさか逆転されるとは思っていなかったのでしょう。選手の動き方、ボールを動かすスピードなど、それまでよりも一段上がったかのように見えました。
レアルの変化に鹿島の選手も気づいてはいたと思うけど対応しきれず、エリア内で山本が相手の選手を倒してファールを取られてしまう。
このPKをC.ロナウドがしっかり決めて2-2の同点、試合は振り出しに戻った。
エリア内で抜かれてしまったところをカバーに来ていた山本がファールしてしまったのは、しかたない。ラグビーのように身体であたってしまっているし、ファールを見逃してもらうのも難しい。
PKを阻止するよう、ここまで何度も好セーブを見せてきた曽ヶ端にも期待しましたが、例えコースがわかっていても止めるのは困難と思えるほど、C.ロナウドのシュートは精度が高く力強いものでした。
試合のゆくえと結果
前後半を終え2-2のまま、試合は延長戦にもつれ込みます。延長前半の8分、レアルは鹿島陣内で余裕を持ってパス回ししつつ、急に縦へ早いパス。
この緩急に鹿島の選手は対応しきれず、エリア内でボールを受けたC.ロナウドがシュート!
キーパーの曽ヶ端も身体にあて止めることはできず、とうとうレアルに逆転されてしまった。
さらに延長前半終了前にも、ミドルシュートのこぼれ球をC.ロナウドが拾い、シュートを決められ、4-2とレアルが2点のリード。
鹿島はクラブワールドカップはこの試合で4試合目。
さすがに疲労は隠せないか・・・。
延長後半もレアルに攻め込まれ、5点目、6点目とさらに失点を重ねるのではと心配になりましたが、鹿島もそれ以上の失点は許さず、試合終了。
レアル・マドリードが鹿島アントラーズに4-2で勝利し、見事クラブ世界一に輝きました。
【スコア】
レアル・マドリード 4-2 鹿島アントラーズ
【得点者】
9分 カリム・ベンゼマ
44分 柴崎岳
52分 柴崎岳
60分 クリスティアーノ・ロナウド
98分 クリスティアーノ・ロナウド
104分 クリスティアーノ・ロナウド
クラブワールドカップ2016決勝の感想
クラブワールドカップ準決勝で鹿島アントラーズが南米大陸王者のアトレチコ・ナシオナルに勝利したとき、鹿島が勝ってしまって本当に良かったのか、そして決勝で大敗だけはしないで・・・と思っていました。鹿島アントラーズが勝利するなんてことは、これっぽっちも考えてなかったです。
それが途中までは鹿島がリードを奪い、PKのシーンさえ回避できていたら、クラブ世界一になっていたかもしれない。
もちろん「タラ、レバ」の話なので、PKがなかったとしても勝てたかどうかわかりませんが、鹿島アントラーズが思いもしなかったほどの好ゲームを見せてくれました。
レアルも逆転されるまでは手を抜いていたとは思うけど、日本のクラブがここまでやれるというのを見せてくれたことは素直に喜びたい。
主審の判断に疑問
「タラ、レバ」をもう少し付けくわえるとすれば、鹿島にも優勝するチャンスはありました。この試合、大きなポイントの一つに、主審の判定がある。
2-2で迎えた後半終了間際、鹿島が守備から攻撃へ移ろうと金崎がドリブルをし始めたところで、セルヒオ・ラモスに倒される。
残り時間が少ないところで反撃を受けそうになる。
イエロー覚悟でファールしてでも止めることは当たり前のプレーなので、セルヒオ・ラモスのプレーの判断は間違いではない。
そして主審もカードを提示しようとしていました。
「これでレアルは一人少ない条件となり、鹿島にも勝てる可能性が高まった」と思った。
セルヒオ・ラモスはすでに1枚イエローをもらっていたので、次にカードを出されたら退場処分となるのです。
ところが審判はカードの提示をやめてしまった。
審判団と両チームの選手の間でなにがあったのかは、わからない。
瞬時にビデオ判定がなされ、カードを出すほどのものではないと、伝えられたのかどうかも定かではない。
一度は主審がカードを出そうとしたのに、カードは出されなかった。
それがとにかく不可解でした。