日本のプロ野球ではFA選手と契約する場合、前所属球団のなかで年俸が高かった選手には、補償をする仕組みになっています。
FA選手が所属していた球団は、補償として金銭、もしくはプロテクトから外れた選手プラス金銭を選ぶことができる。
今回、巨人が契約したFA選手では、山口投手、陽選手が補償の必要な選手となり、前所属のDeNAと日本ハムがどういった補償を選ぶか注目していました。
DeNAは平良拳太郎投手と契約
DeNAは人的補償で平良拳太郎投手を獲得。それに山口投手の年俸の40%にあたる3200万円を受け取ることになります。
平良拳太郎投手は2013年のドラフトで5位で指名され巨人に入団。
1年目と2年目は1軍での登板はなく、昨年の4月7日の阪神タイガース戦でプロ初登板、しかも初先発。
3回と2/3を投げ、4被安打3与四球、4失点で敗戦投手となっている。
まだ21歳と若いとはいえ、1軍での実績はほとんどない。
どうして平良拳太郎投手を選んだのか?
DeNAの高田GMによれば、DeNAも平良投手をドラフトの指名候補としてリストアップしていたんだそうです。
自分たちもチェックしていた選手がプロテクトされていなかった。
そういうことなら獲得したのも、うなづけます。
巨人も投手の駒は決してそろっているわけでもないので、ある程度チャンスはもらえる。
ただ、求められるレベルは高い。
DeNAのほうが生ぬるいというわけではないですが、巨人よりも1軍で投げさせてもらえる機会は多そう。
1軍でプレーする機会が多いほうが、実力もつきやすいので、平良投手にとっては良い移籍になったんじゃないか・・・と思います。
日本ハムは人的補償ではなく金銭のみ
陽岱鋼外野手がFAで移籍した日本ハムは、プロテクトから外れた選手を選ばず、金銭のみの補償を選択しました。陽岱鋼外野手の2016年の年俸は1億6000万円で、年俸の6割ぶんの9600万円が巨人から日本ハムに支払われます。
元々日本ハムはお金にシビアというか、年俸の高い選手を手放しやすい傾向にあります。
陽岱鋼外野手の年俸の金額そのものはそんなに高いという印象はないけれど、成績に見合う年俸かと問われると、ちょっと考えてしまいそうな金額ではある。
日本ハムは2016年シーズンは日本一でしたから、陽岱鋼外野手の年俸も高くなる。
陽岱鋼外野手がそのまま日本ハムに残っていたら、これまでの実績も加味し、2億円かそれ以上の年俸になっていたかもしれない。
チームが優勝したとはいえ、一度も打率3割を打ったことのない選手にそこまでは出せない。
かといって現状維持や減俸だと選手も納得しないだろうし、他の選手も球団に対し不信感を持つことになる。
球団にとってはFA宣言してくれるのが、一番都合が良い。
そんな事情というか背景があるので、日本ハムが人的補償ではなく、金銭のみの補償を選んだのも、なんだか日本ハムらしいな・・・と納得。
すでに昨年のオフに巨人とはトレードもしており、大田泰示外野手、公文克彦投手が日本ハムへ移籍している。
大田は入団以来、将来の中心打者として期待されてきた選手。
公文はケガで離脱してしまったけれど、昨シーズンは中継ぎとして12試合登板している。
さらに人的補償で選手を獲得するといっても、大田以上の選手となるとそれなりに年俸も高い選手だろうし、公文よりも年俸が安い選手なら自分のところの選手を育てたほうがいい。
日本ハムはドラフトなどで選手を獲得する際も、将来のチーム事情を考えながら、必要な選手だけを獲得しているそうです。
だから育成契約はしない方針なんだとか。
モノになりそうな選手と何人か契約して、その中から一人でもでてきてくれれば・・・というようなアバウトな選び方はしない印象。
そういう球団の体質も考えると、やはり金銭のみの補償でじゅうぶんだったんでしょうね。